実績紹介

メタンハイドレート濃集帯詳細評価のための貯留層評価および海洋産出試験海域における貯留層評価

図1. 貯留層評価作業のワークフロー(玉置ほか、2013)

図2. ガスハイドレート飽和率分布、北西―南東方向断面図(玉置ほか、2013)

顧客名  :
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)
国・地域 :
日本
実施年  :
2011年~

メタンハイドレートの海洋産出試験における生産挙動を詳細に評価するためには、メタンハイドレート貯留層内でみられるタービダイトの岩相変化や貯留層物性変化を再現した詳細な三次元地質モデルが必要です。
本プロジェクトでは東部南海トラフにおける海洋産出試験海域のメタンハイドレート貯留層を対象に、三次元地震探査データおよび坑井データを用いて貯留層キャラクタリゼーションを実施し、地球統計学的手法を適用して三次元地質モデルを構築することを目的としています。

三次元地質モデリング作業では、主に1)フレームワークモデリングと2)貯留層特性の三次元分布予測を行います(図1)。フレームワークモデリングでは、三次元地震探査データから解釈されたホライゾンからモデルの骨格となるゾーン境界を設定します。次に、ゾーン内部を坑井データでみられる岩相変化に応じてレイヤリングを行い、三次元モデル中に格子(グリッド)を作成します。貯留層特性分布の推定では、主に岩相、孔隙率、浸透率、ハイドレート飽和率等の貯留層特性値を対象とした三次元分布予測を行います。三次元分布の予測は坑井データを用いて地球統計学的手法により三次元分布を予測します。坑井データは垂直方向の情報には富みますが(垂直井の場合)、特に探鉱ステージにおける坑井数は十分でないため、側方変化の情報は乏しくなります。一方、三次元地震探査データは垂直方向の分解能は坑井データには劣りますが平面情報に富むため、側方方向の不均質性を把握する上で重要な情報を提供してくれます。本業務では、これらの様々な地質データを統合し、貯留層の三次元不均質性を詳細に再現するため、地球統計学的手法を適用した貯留層特性分布の予測を行っています。

貯留層評価のための地質モデルは、探鉱から開発段階へステージが進むにつれ、坑井データ(検層・コア)や震探データ(4C地震探査結果等)などの新規データが加わることにより、地質学的再解釈に伴うアップデート作業が行われます。メタンハイドレート研究開発における貯留層評価業務においても、海洋産出試験実施前後の新規掘削作業によって新たな物理検層やコアデータが取得され、新たな解釈結果を反映した地質モデルのアップデートが求められています。また、生産挙動予測のためのフローシミュレーションでは地下の地質情報の不確実性も考慮した複数のケーススタディが必要であるため、目的に応じた様々なモデルを作成する必要があります。弊社では平成23年度より継続して顧客からの様々なニーズに応じた地質モデリング作業を行っています。

なお、本プロジェクトの作業は主にJOGMEC 技術センターと当社事務所にて実施されました。


【引用文献】
玉置真知子・鈴木清史・藤井哲哉・小松侑平,海洋産出試験地域における貯留層評価、2013、H24 TRC年報、P. 212-P. 215.

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